一発勝負の料理作り―再現性ありません。どうもレシピ通りが苦手なもんで・・―Ⅴ(おしまい)

生トマトの状態から、完全自己流で作ってみたトマトソース。

その後、特に出番もないまま、しばらく、冷凍保存されていたのである。


そんなある日、どういうきっかけか

「そうだ!ラザニアを作ろう。」

と思い立った。

別に意味はない。

そこで、平たいラザニアをゆでたのはいいが、味付けをどうしようか迷った。


冷凍庫には、冷凍食品のひき肉味や海鮮味など市販のパスタソースが何種類か入っている。

あれを解凍して合わせれば簡単である。

が、それではなんだか物足りない。


と、そこで件のトマトソースが目に入った。

「そうだ!今日こそこいつを使ってやろう。」

と、手に取り、解凍したのはいいが、市販のパスタソースのように完成品ではないのでそのままでは使えない。


そこで、このトマトソース、結構な量あったので、ラザニアが沈み込むくらい耐熱皿にたっぷり注ぎこんでみた。

そこに上から香辛料やパルメザンチーズをさらにふりかけ、オーブンで焼いたのである。


こんな料理、果たしてあるのかないのかわからないが、とにかくそれっぽくできあがったので食ってみたら、思いのほかうまかった。

普通、トマトソースはパスタを和えたりするのだろうが、こんな風に焼いてしまうというのもあり、ということを発見したのである。


さて、以上のように、その辺にある材料をちゃっちゃか使ってテキトーに作るために、同じものは2度と作れないという私の料理。

ダメだったときは、その1回分を我慢して食べてそれで終わりにすればいいのだが、

「おっ、これはなかなか良かったぞ。また食べたいな。」

となったときが困るのである。


つまり、私の料理は、常に毎回1発勝負の出たとこ勝負なので、ほぼ再現性がない。

「えーと、あのレシピどうだったっけ?!?」

と、記憶をたどらなければならないのだ。

まあだいたいは覚えているから再現できないことはないのだが、コクや風味が微妙に違ったりすると、

「あ、そうか!あの調味料を入れ忘れてた!」

てなことになるのである。


「まあ、それはそれでいいわ。」

と気にするタイプでもないので、1回1回の出たとこ勝負を楽しんでいる。

うまくいったときの再現性がないのは、若干残念ではあるが、今後もこの独自の料理法、続けていくつもりである。

     これはトマトソースから作ったハヤシカレーライスであります。

     酸味と辛みの絶妙なハーモニー。

おしまい