「書く」という作業は「調べる」「考える」「考察する」プロセスを必ず伴う―経営者がアウトプットという生みの苦しみを克服するには―Ⅲ

「書く」という、どちらかと言えば億劫で苦しいチャレンジを続けることによって手に入れることができる「大きなご褒美」。

それは他者との明確な「差別化」が期せずして図れるという大きなインセンティブでした。


しかしながら、ここで得られるメリットはそれだけではありません。

もっと根源的な利点を得ることができるのです。


そのもう一つの利点というのは、自らに実力がついてくる、ということです。

「書く」という作業は、その前に「調べる」「考える」「考察する」などのプロセスを必ず伴います。


さらにその結果をわかりやすく表現しなければならないために、かなり深く理解する必要性が出てきます。

こういった一連の試みが、そのプロセスにおいて必然的に要請されるという背景があるので、これを繰り返していれば、知らず知らずのうちに実力がついてくるのです。


さて、とはいえ「書く」という作業が大変である!という事実に変わりはありません。

何か少しでも楽ができる或いは効率化できるといった、いい方法はないものでしょうか。


その方法論の一つとして、自社データを「ストック」しておくという考え方があります。

いつでも切り出せるネタとして、自社のストーリーというものを、あらかじめ調べて研究し、データ化しておいて、それをストックしておくというものです。


と言っても、おそらく初めてのことですので、それ自体結構大変な作業のような気がするのではないでしょうか。

何か具体的なアプローチの仕方のようなものはないのでしょうか。


それについては、まずは自社の年表、社史のようなものを作成することから始めてみてはどうかと考えます。

自社の沿革について整理してみるといろいろなエピソードが出てくるはずです。


過去を時系列に掘り下げてみる、つまり、「過去」起こった事実に、書くためのネタを求めるのです。

これはきちんと文章化するといったことではなくて、ネタを集めるだけの作業ですから、取り組んでいてもそれほど苦にはならないはずです。

 

                自社の歴史を振り返ってみる。

つづく