令和2年分より、所得税制が変わります!
寒かったり、暖かくなったりのおかしな気候に皆様体調等崩されておりませんでしょうか。
来年以降の年末調整にも大きく関わってくる事ではありますが、
令和2年分以降の「給与所得控除」額が10万円引き下げられます。
今回はそんなお話をさせていただきます。
そもそも「給与所得控除」という言葉はご存知でしょうか。
また、その額は、いったいどのようにして決まっているのでしょうか。
そもそもの話として「年末調整」のシステムについて語らせていただきます。
年末調整が関わってくるのは、私を含む、サラリーマンの皆さんが大半です。
通常、サラリーマンの皆さんは、いわゆる「総支給額」の金額が銀行に振り込まれている訳ではありません。
社会保険料、雇用保険料、住民税、源泉所得税など、色々なものが引かれ「手取り」が現金手渡しや、銀行振込されています。
年末調整とは、その中の「源泉所得税」が大きく関わってきます。
皆さんの給与の「総支給額」から「源泉所得税」という税金が、毎月毎月引かれている訳ですが、この金額というのは、多くの場合、
「厳密に計算すれば、本当はこの金額じゃないけど、念の為多めに引いておこう」
という形で少し多めに引かれています。
そこで、引きすぎていた分を「年末」に「調整」してお返し(足りない場合は追加で支払い)しようというのが「年末調整」という訳です。
では、どうやって年末に「本来払わなくてはならない税金の額」を決めるのでしょうか。
基本になるのは、皆さんのお給料の額です。
それも「総支給額」を基に計算を行います。
この「総支給額」から「経費」を引いたものが「給与所得」となるのですが、
普通のサラリーマンには「経費」という考え方がそもそもありません。
そこで、「経費」の代わりに「給与所得控除」というものがあります。
この「給与所得控除」というものは、年収ごとに一律で決まっている物なので、扶養家族がいるとかいないとか、彼女がいるとかいないとか、年齢だとか、地域だとか、見た目だとか、性別だとか、趣味だとか、特技だとか、休みの日はどう過ごしているか、とかで変わる物ではありません。
北海道の年間総支給額が400万円の2児の父(趣味はプラモ作り、初めてのデートは映画館)も、鹿児島の年間総支給額が400万円の独身女性(趣味はカフェめぐり、彼氏募集中)も、「給与所得控除」の額は変わらないのです。
それぞれの方の納税額が変わってくるのはここからです。
年間の「総支給額」を「年収」といいます。
この「年収」から「給与所得控除」を引いたものが「所得」となります。
「年収」と違って、なかなか聞きなれない言葉だと思います。
この「所得」から、
誰にでも適用される「基礎控除」や、
加入している保険の保険料を引ける「生命保険料控除(上限金額有り)」や、
16歳以上のお子さんや、70歳以上のご両親を扶養していれば使える「扶養控除」等々、
様々な控除を行います。
この様々な控除をまとめて「所得控除」と言います。
※控除とは、ものすごく簡単に言うと、「引く事」です。
そして「年収」から「給与所得控除」と各種「所得控除」を引いたものに税金がかかってくる訳です。
これで計算した税額と、毎月毎月お給料から引かれていた「源泉所得税」を比較して、
払いすぎているようならお金が戻ってくる、足りなかったら追加で払う、
これが「年末調整」というものです。
さて、年末調整のシステムがわかったところで、前述の「所得税制が変わる」お話をしていきたいと思います。
令和2年分以降から、先ほどの「給与所得控除」が10万円引き下げられ、
誰でも使える「基礎控除」の額が10万円引き上げられることになりました。
この変更により、何が変わるのでしょうか。
実質的な納税額は「年収」が850万円以下の方は変わりません。
「年収」が850万円を越える方は納税額が増えるのです。
そのカラクリはこうです。
「給与所得控除」という物は「年収」によって控除額が変わると言いましたが、
その控除額が下図のように変更になります。
これまでであれば、
年収が850万円ピッタリの方は
850万円×10%+120万円=205万円控除出来ていたのが、
一律で195万円までしか控除が出来なくなります。
控除できる(引ける)金額が20万円減っていますね。
つまり、その20万円にも税金がかかってくるので、納税額が増える、という訳です。
ただし、障害者や扶養家族がいる方などには「所得金額調整控除」という物も新たに設けられましたので、安心してください。
納税に関する知識と、意識を高め、きちんと納税して、素敵な人生を送りたいものですね。