時代そのものを背景とした根本的な価値観の変化「パラダイムシフト」―劣化したオッサンさんにならないために―Ⅸ
それでは、オッサンが「サーバントリーダーシップ」を発揮できるようにするにはどうしたらいいのであろうか。
この書評では次のように書かれている。
―ただしこのリーダーシップは、主導権を握って動こうとする若手・中堅の存在を前提としている。
ゆえにオッサンとそれ以外の人たち双方が、リーダーシップのパラダイムシフトを起こさなければならない。―
さて、ここが最大の問題である。オッサンが若手・中堅にすんなりと主導権を渡すことができるだろうか。
これはオッサン側の問題ばかりではなくて、若手・中堅の側にも覚悟が必要とされる。
というのは、この書評の冒頭にあったように、日本には「年長者は立てるべし・・」という文化がまだ色濃く残っているからである。
また、年長者もそれが当然のようにふるまうことが多い。
したがって、既存の古い組織のパラダイムシフトを起こすよりも、新規に起業した方が手っ取り早いし勢いもある、という現象が起こるのだ。
多くの2代目が躓いているのも、このパラダイムシフトがうまくいかない、という点に起因しているのである。
そもそも、パラダイムシフトとは、ウィキペディアによれば
―その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。―
とある。
つまり、時代そのものを背景とした根本的な価値観の変化なので、例えば事業承継において、先代の経営観や経営手法を踏襲するわけにはいかない。
ここに、リーダーシップの交代がうまくいかない最大の要因があるのだ。
ここでは、後継者によるパラダイムシフト後の経営観が、よほど明確なものでなければ、強く変革を要請することはできない。
オッサンは強烈な成功体験を持っているために、容易にはパラダイムシフトには応じないからである。
つづく