社会変化スピードの高速化についていけない―劣化したオッサンさんにならないために―Ⅴ
年長者の経験値による価値が急速に失われてきたのは何故なのか。
その点についてこの書評の中では、次のように分析されていると紹介している。
―20世紀後半以降、年長者のもつ価値が失われる3つの変化が発生している。
まず第1に、「社会変化スピードの高速化」である。
20世紀後半以降、ライフスタイルの変化スピードがどんどん速くなり、それまで年長者が長い時間をかけて培ってきた知識や経験が、すぐに陳腐化するようになった。
わたしたちがいま向き合っている問題は、年長者にとっても若者にとっても新しい問題だ。
そして新しい問題に対する問題解決能力は、むしろ若者の方がすぐれている。―
これが、私が長い間訴えかけてきた経営における大きなテーマである。
テーマというより「問題点」と言った方がいいのかも知れない。
地方の中小企業経営者にとって成功体験、特に「昭和の成功体験」は強烈なものだったに違いない。
その体験があまりにも大きかったために「陳腐化」していることを認めたくないのである。
「認めない」といったいどういうことになるのか、それは次のようなセリフになって表れるのだ。
「少々社会変化のスピードが速かろうがなんだろうが、知ったことではない。俺のあの成功法則が通じないはずがない・・・」
こういう、ゆるぎない精神構造に辟易させられたことは一度や二度ではない。
その結果どうなるのか・・
今起こっており、向き合わなければならない新しい問題を特定できないことになる。
ましてや、「新しい問題に対する問題解決能力は、むしろ若者の方がすぐれている。」などとは決して認めようとしない、という現象が起こってくるのである。
これが、年長者の経験値による価値が急速に失われた第1の原因である。
つづく