「考える経営」だったのか?―『考える経営者』が時代を作る―Ⅰ

 

私は、税理士事務所を経営する仕事の一方で、多くの経営者に対して

「御社の持っている有形無形の企業資産を棚卸して、それを様々な手段で情報発信して行きましょう。」

と、提言しています。

 

これは販売促進の一手法で、私としてはかなり有効な手段と思っています。

ただし、この手法は、その前提として経営者に「自社について改めて考えていただく」というステップを踏むことになります。

 

「考える」と言っても、通り一遍で済むものではなく、自社について深く考察してもらう、というものです。

この「考える経営」というのは現代において極めて重要な切り口で、ここのところが企業の行く末を決定するといっても過言ではありません。

 

こういうことを言えば

「今までだってちゃんと『考える経営』はやってきている。そんなことは当たり前だ!」

と怒りだす経営者の方もいらっしゃるかも知れませんが、私の感想はまた別です。

 

その証明の一つとして、いまだに

「先生、世間では、景気の方はどうだろうね。うちあたりはまだまだなんだが・・・」

といったご挨拶を受けることがしばしばだからです。

 

こんなたわごとを言っているうちは、経営が上向くことはまずあり得ません。

ただの挨拶なんだから目くじらを立てることもあるまいに、というご意見もあると思いますが、私としては、そのただの挨拶の選択肢からも消し去って欲しい文言であります。

 

景気がいい、悪いと言っていたのは、景気というものが循環型だった時代の話です。

循環型ですから、ある一定の周期で良くなったり悪くなったりしていたことになります。

 

ただしこれは、「景気」という文言が指す経済状況が、全体として高いレベルにあった時代のことです。

その高止まりの中で多少良いときもあれば悪いときもあるといった時代の話なのです。

 

そんなのどかな時代はとっくに終わりを告げました。

景気云々などと寝ぼけたことを考えていたのでは、とても現代の経営は乗り切れません。

 

 

つづく