巨人石津謙介のことⅡ

ところで戦後日本には偉大な経営者の系譜というものがある。

松下幸之助、本田宗一郎、盛田昭夫等々、いずれをとっても戦後の日本を世界的な経済大国に押し上げるのに一役買った名経営者である。

彼らを取り上げた著作や、名言録、企業研究本などは非常に多く発行されている。

 

しかしながら、業界の違いということもあってか、石津謙介を取り上げた著作はそう多くはない。

また、彼が一度は自らの作った会社VANを倒産させたという経緯もあって「名経営者」の一人として取り上げることが憚られているのかも知れない。

 

最後まで洒脱を貫いた人で、日本人の好きな「生真面目さ」を見せることがなかった。

そんなところも、彼に対する点が少々辛くなっている要因かも知れないと思う。

つまり、日本人的な基準でいえば、大多数の人のお手本となるタイプではなかったのだ。

 

確かに企業経営者としては至らぬところが多く、それが倒産という苦汁をなめる結果となったことは否めない。

一般的には、企業経営に失敗した人物としての評価の方が勝っているのだろう。

 

 

 

つづく