シャツを極める・・・否、極められるか?―シャツと私の長い歴史―(前編)
「シャツ特集」に惹かれて
「Pen」という雑誌がある。かなりインテリジェンスの高い月刊誌で、どんなジャンルの雑誌なのかは特に決められていないような気がする。
私から見て、アート寄りの男性向け総合情報誌といったところだろうか。特集される内容によっては結構気になるものもあるので、私もときどき購入して読んでいる。
先日、本屋で見かけたら、今月号のこの雑誌「シャツ特集」という企画が組まれていて、ちょっと興味をそそられた。特集では様々なブランドの様々なシャツが、これでもかというほど紹介されている。
店先でパラパラめくっていたが、今回はシャツに関するエッセーなども掲載されていて読み物としても面白そうである。結局、久しぶりに購入することにしたのだった。
異常な数?!わかってますって
私といえば、シャツは昔から好きな衣服の一つで、いろんなタイプのもの(襟がついいているものをすべてシャツとカウントしたとして)を合わせれば、今でも100枚以上は所有しているのではないだろうか。ちゃんと数えたことがないので、正確なところはわからない。
一番多く持っているのは、ビジネス用のシャツで、これだけでも50枚は超えそうである。私の場合、ビジネスで着用するシャツは割とはっきりしている。ネクタイを締めることを前提としたレギュラーカラーのものと、クールビズ用のボタンダウンである。いずれもほとんどは長袖だ。
ちなみに、上記のシャツ所有枚数、異常な数であることは自分でもわかっている。好きが高じて後先考えず、馬鹿みたいに買いまくっているうちにこんなことになってしまったのだ。
決して持ち物自慢などではないことはご理解いただきたい。カミさんもあきれているので、自制しなきゃあなあ、とはもちろん思っております。
男子たるものネクタイ着用は当たり前
さて、1年の半分がクールビズになり、ネクタイ着用の機会と期間は大幅に減った。私の事務所でも、5月から9月いっぱいをノーネクタイOKにして、10月から4月までをネクタイ着用期間としている。つまり、1年のうち5ヶ月がクールビズであり、7ヶ月がネクタイ着用である。
世の中これを半年半年にするか、或いは1年中ノーネクタイという職場も増えているようだ。私はこの傾向にはいささか抵抗がある。
男子たるものビジネス現場においては、ネクタイくらい着用したらどうだ、というのが私の考えだからだ。これって、昭和ぽいですね、って話になるんだろうか。
そもそも、クールビズって言葉自体好きではない。なんか、いかにも横文字好きの政治家か官僚あたりがネーミングしたんじゃないかという、チャラい印象が私の中から抜け切れないのだ。(知らんけど)
クールビズをクールに決めるには
話しがだいぶ逸れてしまった。そう、シャツである。ビジネス用のものをレギュラーカラーとボタンダウン(以後BDと表記する)に2分して、ネクタイ着用とそれ以外に使い分けていると書いたが、こんな分け方をしているのは私くらいだろうか。
そもそもBDがネクタイに向いていない、というわけではない。IVY、或いはトラッドっぽい恰好をするとき、紺ブレにネクタイはレジメンタルストライプ、シャツはBDが一番しっくりくる。
ただ、逆はあまりピンとこないような気がする。つまり、ノーネクタイ即ちクールビズにレギュラーカラーをもってくると、お父さんが居酒屋でネクタイはずして酔っ払いモードに入ったときのヨレヨレの情けない姿、になりかねないと思っているのだ。
クールビズをクールに決めるには、それなりのセンスやテクニックが必要なのではないだろうか。
その点BDは、襟先にボタンがついている分、襟がちゃんと立つのでクールビズに向いているというわけだ。Vゾーンの収まりが、レギュラーカラーよりもちゃんと見えるような気がしている。まあ、私の勝手な判断に過ぎないが。
あ、ここで断っておかなければならないのは、私の事務所ではクールビズといっても、TシャツやポロシャツはNGである。あくまでも、襟付きのカチッとした生地のシャツに限るのだ。
もう見飽きたTシャツ+ジャケットスタイル
そういえば、Tシャツの上にジャケットというのが近年の流行で、IT関係の若いビジネスパーソンなど、こぞってあのスタイルを取り入れているようである。しかし、正直言ってあれもだいぶ見飽きてきた。
Tシャツの上に直接ジャケットというのは珍しく、当初、『あ、ちょっとカッコいいな』と思って、私も取り入れてみようかなと思ったが、首筋をもろにさらさなければならないあのスタイルは、自分には向いていないと諦めた。
なんのことはない。年齢は首筋にモロに出るからである。私くらいの歳になったら、首筋はできるだけ隠すに限る。(というわけで、巻物を結構愛用しているのですが、そのテーマについてはいずれまた)
それに、どう考えてもあれだとジャケットの後ろ襟が汚れそうだ。特に汗っかきの人など、薄い色のジャケットだとモロに汚れが目立つのではないだろうか。実際、そんなこともあったのだろう。Tシャツの襟の後ろ側だけ高くなっているものも存在するようだ。(なんかデザインが変だ!)そこまでしてあの格好をしたいか。
と、そんな理由でTシャツ&ジャケットスタイルを敬遠しているうちに、あまりにもみんながあの格好しているので、いい加減見飽きてきたというわけである。若きビジネスマンたちもそろそろ次のスタイルを模索したらどうだ、と思ったりする。(余計なお世話かも知れませんが)
女性陣の一方的かつ強力な反対
話が度々脱線して申し訳ない。そう、シャツである。
TシャツやポロシャツをNGにしたのは、私の一存ではない。事務所の女性陣の強力な反対があったからである。というのは、カットソー素材のTシャツやポロシャツは、身体の線がモロに出るから、見た目が見苦しくて嫌だ、という、まことに彼女たちの一方的かつ強力な要望によるものだった。
まあとにかくそういうわけで、私及びうちの男性スタッフは、ビジネスシーンにおいて、半ば強制的に毎日必ずシャツを着用するのである。いわゆる「ホワイトカラー」を地でいっているのだ。
話がまたちょっと逸れるが、そういう日常なので、私の場合、休日は逆にカジュアルなものも含めてシャツはほとんど着なくなった。替わりにニット類を着ることが多い。冬はウール系のセーターを、春秋はコットンまたは麻のセーターか、カットソー素材のトレーナーやラグビージャージを、夏はTシャツやポロシャツをいつも着るようになった。休日までカチッとしたシャツを着る気にはなれないのだ。

極めてベーシックなBDシャツ
つづく