付加価値をつけていくべきではなかったのか!―我々の仕事はどう変化していくのか?「これまで」と「これから」を考える―Ⅸ

世の中の技術革新はとどまるところを知らず進化しています。

そんな中、我々の業界でいえば、コンピュータの発達、会計ソフトの開発等によって業務の効率化は格段に進みました。

 

しかし、このように「How」に当たる「やり方(方法)」が大きく進歩してきたにもかかわらず、「5W」に当たる「やること(内容)」をあまり進化させてこなかったのではないか、というのが私の感想です。

この点が、会計業界全体として、最も大きな課題だったのではないでしょうか。

 

それを示唆する現象として、我々の業界における基本的な収入源である顧問報酬が、30年くらい前からほとんど変わっていない、ということが挙げられます。

私はよく冗談に

「卵の値段と顧問料は30年前から変わっていない。」

なんて、言ったりしていますが、まさにその通りになっています。

 

「How」に当たる「やり方(方法)」が大きく進歩するということは、面倒で手間のかかっていた処理作業がどんどん簡便化されるということになります。

にもかかわらず、その手間が省けた分の顧問料を下げるということは特にしませんでした。

 

逆に言えば、顧客側もそのこと(処理が簡便化されてきていること)はなんとなくわかっていても、指摘もしない代わりに値上げにも応じない、という、両者なんともいえない微妙な均衡の上でここまで来たのではないかと思います。

ただ、税理士の登録者数が過剰な状況の都市部では、一時かなりの値下げ合戦になったようですが、今はどうでしょうか。

 

処理が簡便化されるということは、時間的労力的に余力が生まれるということになります。

税理士側はこれをただラッキーと思うのではなく、その余力の分、新しいサービスを提供しなければならなかったのです。

 

ところが、長い間、税法や会計ルールに「当てはめる」仕事に専念してきた税理士にはその想像力がありませんでした。

また、現代ビジネスには必須ともいえる営業力や販売促進企画力、プレゼン能力もつけていませんでした。

 

先述の値下げ合戦の際に、税理士側が注力し実践したのは、上記のような付加価値を付けることではなく、「いかにコストを下げるか」ということだったのです。

これでは税理士の業務が、顧客に魅力的に映るはずがありません。

 

パソコン前のビジネスマン

付加価値をつけることはできたのか?!?

 

つづく