新たなサービスが必要な時代―我々の仕事はどう変化していくのか?「これまで」と「これから」を考える―Ⅷ
「英語の5W1H」を応用して、私たちが提供してきたビジネスにおける「やること(内容)」と「やり方(方法)」を振り返ってきました。
このうち、「5W」は「やること(内容)」に当たり、残る「1H」は「やり方(方法)」ということになります。
具体的、現実的に最も変化してきたのは、この「1H」である「How」といえましょう。
というのは、この「How」つまり「やり方(方法)」こそが、技術(テクノロジー)の発展と最も密接に結びついている分野だからです。
技術(テクノロジー)といっても、ハードいわゆる道具という意味ではその中身はほぼコンピュータ、中でもPC(パーソナルコンピュータ)の発達を指します。
PCの普及は、いろいろな世界に劇的な変化をもたらしましたが、特に会計に関する業界は、その道具(コンピュータ)+ソフト(いわゆる会計ソフト)を使うことで、総合的にその恩恵を受けたと言っていいでしょう。
PCが我々の業界にもたらした恩恵の最たるものは、基本的に「計算」が無くなったということと、データの保全と移行が極めて簡便になったということではないか、と私は思っています。
ただ、業界内の事情としては、いち早くコンピュータ導入に取り組んだ事務所もあれば、著しく遅れた事務所もあり、そこで2極化が進んだともいえます。
さらに技術的に進んだ点は、データの「加工」も極めて簡単にできるようになった、ということです。
表計算ソフトを駆使すれば、基本的な会計データから経営判断に役立つ様々な切り口の応用データに加工し、それを抽出することができるようになりました。
逆に言えば、こういった試みを何もせず、新たなサービスを提供できないでいれば、この業界は顧客に評価されない時代になった、ともいえます。
果たして「新たなサービス」はできているでしょうか。
私はこの点が、或る意味、我々の業界の最も大きな課題ではないか、と思っています。
どういうことでしょうか。
それは、業界全体として、
「ハード(主として道具としてのコンピュータ)の発達、ソフト(会計ソフト)の開発によって「How」に当たる「やり方(方法)」が大きく進歩してきたにもかかわらず、「5W」に当たる「やること(内容)」をあまり進化させてこなかった。」
という点が、大きな課題ではなかったか、と思うのです。
「進化させてこなかった」というよりも、「進化させることができなかった」或いは「進化させようという努力をしなかった」と言ってもいいかもしれません。
格段に進んだ処理能力
つづく